お客様アンケートに答えてみる その2
土曜担当、General Managerコバヤシです。前回公演「バラシのよるに」のお客様アンケートで寄せられましたご意見・ご要望(の集合体)に、この場を借りて返答させて戴きます。
ご要望:当日決済の前売券を出してください
お応え:無理です
当日決済前売券というのは、名前と枚数を先に伝えておけば、当日受付で名前を言って前売料金を支払うと入場出来るというシステムです。小劇場演劇ですと大抵どこの団体も取り入れているシステムですが、ことAga-risk Entertainmentでは私が日本国内に居て指揮を執った公演では一度としてこのシステムを導入しておりません。なぜならば、このシステムはどう考えても歪んでいるからです。
例えば5ステージ開演する公演があったとします。あなたが「そのどれに行けるかわからないけども、どれかに行きたい」と思っているとしたら、どうしますか?一番賢い方法は、全てのステージに予約を入れることです。そうすれば、どのステージを見に行っても前売価格で入場出来てしまいます。もし全てのステージに行けなかったとしても、何も失うものはありません。
しかし、これでは当日料金を支払ってくださるお客様に対してあまりに不公平です。
しかも運営サイドの我々としても困ったことになります。「入場の予約をしていたお客様を会場内にご案内出来ない」などという事態は、イベントの運営に当たるスタッフとしては最も避けねばならない事態です。絶対に引き起こしてはならない事態です。ですから、仮にその様な予約を受けてしまったとすれば、その分の座席を空けてお客様をお待ちしなければならないのです。仮に本当にご来場するつもりの無い「空予約」であっても、予約を受けてしまった以上はその分の座席を確保し、場合によっては当日券でご入場をご希望のお客様を「満席ですのでご入場出来ません」と、ご入場をお断りしなければならないことさえ覚悟しなければならないということです。
むしろ当日決済前売券なんてチケットを販売している団体は、それだけの覚悟があってやっているのかと私は問い返したいところです。
さらに、より根本的なことを質問すれば、恐らく当日決済前売券を販売している団体さんは、何故前売券が当日券よりも安いのか、という根源的なことを理解できていないとさえ私は思います。それが理解出来ていれば、とても当日決済前売券などといった歪んだチケット制度を導入できるわけがありません。
前売券の方が当日券よりも安い理由。それは「団体が前売券を購入してほしいから」に他なりません。「前売券と当日券で前売券の方が当日券より安いし、前売券買っとこうかなぁ」と思ったお客様が出ることを期して、前売券の販売価格を当日券のそれよりも安く設定しているのです。「事前購入に対してインセンティブを与えることによる前売券の販促」こそが、(現段階でのAga-risk Entertainmentの)前売券と当日券との価格差の正体なのです。
ではなぜ、当日券よりも前売券を購入して欲しいのか。その理由は大きく分けて三つあります。
一、事前にお客様の入場数を把握することで当日のご案内をスムーズにするため。
二、事前に代金を回収することで、出来るだけ早期に借金を返済するため。
三、事前に代金を回収することで、様々なリスクに対処するため。
まず、一ですが、これは当日決裁前売券でも対処可能です。劇場のキャパシティに対してどの程度のお客様がご入場なされるのかを事前に把握しておくことで、当日のご案内をよりスムーズにすることが出来ます。お客様は隣のお客様との間に空席を一つ作りたがる傾向がありますが、詰めて戴くべきか否か、それは事前に入場数を把握しておくことでだいたい判断することが出来ます。
そして二番目。公演を打つ時には必ず借金が生じます。公演の会場代や、大道具小道具の製作費などの諸経費は、当然ながら公演前に支払わねばならないからです。例えば100万円の予算で100万円の売り上げのある公演を打ちたければ、手元にまず100万円用意しないことにはなりません。お金は銀行に預けておけば利子が付くように、「所持していること」それ自体で利益が生じますから、出来るだけ早く前売券を売って借金返済に充てたいと思うのは当然のことでしょう。
そして三点目。例えば私どもが最近良く使っている会場は、公共交通機関はJR京葉線ぐらいしかなく、京葉線が止ったらお客様は殆ど会場に来れません。例えば人身事故。例えば荒天。そんな事態でお客様が会場に来れないと言う事態が発生したら、殆ど活動資金を回収出来ません。そして、Aga-risk Entertainmentはそれだけの損失を計上して、活動を存続できるほど活動資金が潤沢には御座いません。つまり、天候次第でAga-risk Entertainment活動休止とも相成りうるわけで、そんな危険な橋は渡れません。前売券の販促は、「もしも当日会場にお越し戴けない事態が生じても入場料を支払って戴く」という固定利益を確保することでリスクを分散し、多額の損失を抱えない為のリスクマネジメントが目的でもあります。
当日決済前売券などという歪んだシステムを導入している団体さんに問いましょう。あなた方は「空予約」が入ってもそれを受け入れ、荒天などの回避しようがないトラブルに伴って生ずる損益などのリスクまでも全て抱え込む覚悟がおありの上で、そのシステムを導入していますか?それらのリスクを考えれば考えるほど、どうしたらそんなシステムが平然と導入出来るのか、疑問に思えてなりません。
2008/12/06 コバヤシ | 個別ページ | コメント(0)