ホーム > 企画情報 > Love Situation'21 > 第一回「夏の湖のボートの上で」
先生
なんで僕なんだろう?
ボートに揺られながら、それだけを考えていた。
先生は楽しそうにボートを漕いでいる。僕など気にもしないように。
周りの目には変なカップルに映るだろう。先生は若く見えるとはいえ、どう見ても僕より年上だ。しかもその先生がオールを持ってボートを漕いでいる。その向かいには、緊張でガチガチになった僕がいる。不思議を通り越して滑稽ですらある。
先生とは、二ヵ月前に出会った。ちょうど梅雨の頃で僕はびしょ濡れで先生を訪ねたのを覚えている。
先生は、人気の女流エッセイストだった。駆け出しの編集者の僕は、その時もガチガチになっていた。
「軒下のリスみたい」
そういって先生は原稿の入った封筒を僕に渡した。それだけだった。
それから先生の担当になった僕は毎週のように先生の仕事場に顔を出した。しかし先生とあるのは仕事の話ばかり。だが今日突然、
「公園に行こう」
と言いだしたのだ。
それからはあまり覚えていない。気付いたらここでボートに揺られていた。ふと、これはデートなのかな、と思った。デートだとして、遊ばれてるんだな、と。
若い担当をからかって楽しんでるんだ。
「ねえ、楽しい?」そういいながら僕の目を見た先生の顔を見て僕は驚いた。
その顔には、子供のような「楽しさ」が溢れていた。すごい綺麗だ、と思った。
僕は答えた。
「はい、とても」
僕でいいなら、いくらでも一緒にいよう、そう思った。
浅越岳人
書評
- 坂口
- なんかさ、Mって感じじゃない?
- 近藤
- ベタな感じが…。
- 愛場
- 先生と、ていうシチュエーションだけでエロいよね
- 坂口
- まんま欲望っぽくて嫌じゃない?願望っぽくて。
- 愛場
- わかるかも。
- 近藤
- こういうシチュエーションになってみたいっていう。
- 坂口
- 先生好きそう。
- 愛場
- 大人な女が好きなんだよね。
- 近藤
- 年上大好きみたいな。
- 愛場
- 痛めつけられたい感じだよね。
- 坂口
- うわー、キモイ。
- 坂口
- でも、結構ストレートだからそこまで気持ち悪くは無いよね。
- 愛場
- なんかさ、官能小説とかに出てきそうな感じじゃない?
- 坂口
- 冒頭っぽいよね。あと、女流エッセイストとか。
- 近藤
- あ、そっち系?とか思った。
- 愛場
- (書いた人は)誰だろね?たぶん頭いい人。
- 坂口
- キモクは無いよね、ストレートだから。回りくどい感じじゃない。そこまでキモク無い感じがする。読んでても願望だからね。
- 近藤
- 何が言いたいのっていうキレ方はしない。もっとちゃんと言えば良いじゃんうるさいな、みたいな感じにはならない。
- 坂口
- ストレートだね。願望っぽくて、ああこの人はこういう願望なんだなって。
- 愛場
- でさ、(この女の人は)すっごいミニスカートを履いたお姉さんだよね。
- 坂口
- 歳はいってるんだけど、若作りでみたいな。
- 近藤
- スーツっぽいOL系の格好をしてそう。
- 愛場
- んで、目がすげぇエロイの。
- 近藤
- めがねはかけてそう。
- 坂口
- けど、特にやな感じは無いよね。