このたびは、先日公表した過去のハラスメント事案により、関係する方々に多大なご負担とご心痛をおかけしました。改めて深くお詫び申し上げます。
私たちは今回の問題を、特定の個人の言動や判断だけに帰するものではなく、不適切な言動を許容してしまった創作環境と、申告を適切に受け止め対応するための制度が十分に整っていなかった組織上の問題として受け止めています。
これまでの経緯と問題点を検証した結果、公表した事案の中のそれぞれの事項について、以下の再発防止策を実施することとしました。
1)過去の創作現場における問題
問題について
過去(2010年代)の劇団の創作現場において、下記のような不適切な言動と、周囲がそれを制止・防止できなかった環境がありました。
- 容姿、体型、服装への批判や侮辱的発言
- 俳優活動の継続を否定するような発言
- 出自に関する不適切・配慮を欠いた発言
- ハラスメントの原因が被害者自身にあるかのような発言
- 行為者を含む周囲の劇団員がそれらの言動を制止・謝罪せず、劇団内に被害者が相談できる環境がなかった
これまでの創作環境を振り返ると、本事案以外にも、ハラスメントについての知識や認識の欠如、配慮不足からくる不適切な言動があり、不特定多数が傷つけたり傷ついたりしていた側面があったと認識しております。
その背景には「その場の面白さ」を優先してしまう雰囲気、誰かが不快感を覚えてもそれを表明することによって場の雰囲気を壊してはならないという意識がありました。その結果、問題や違和感を指摘しにくく、指摘があっても真摯に受け止められない環境を生じさせていました。
対策
①これまでの取り組み
2024年以降、ハラスメント防止ガイドラインを定め、劇団員全員が参加するハラスメント防止に関する研修を行い、ハラスメント対策室を設けるなどの取り組みを実施してきました。
その上で、今回の事案を受けて、過去の環境に目を向けられていなかったことを反省し、過去の創作環境、問題を制止できなかった背景、注意や異議を受けた際の向き合い方について、劇団内で改めて話し合いました。
②今後の取り組み
今回の事案を受けての、ハラスメント事案を起こしてしまった立場での新たな研修を実施します(2026年中の実施にむけて調整中)。
また、公演終了後に、現場の安全性やコミュニケーションを振り返る機会を設けます。
さらに日々の活動の中で以下の意識を持つことを徹底します。
- 創作上の目的や場の雰囲気よりも、関係者の尊厳と安全を優先します。
- 不快感や違和感を表明した人の意見を軽視せず、まずその内容を受け止めます。
- 注意を受けた際には、自身の意図だけを理由に否定せず、相手に与えた影響を確認します。
- 問題となる可能性のある言動を目にした人も、それを見過ごさず、注意または相談を行います。
- 立場や経験の違いにかかわらず、誰もが懸念や異議を表明できる環境を整えます。
2)今回の対応上の問題
問題について
今回のハラスメント事案の申告から調査(2025年〜2026年)の中で、以下のような問題のある対応がありました。
- 第三者からのハラスメントの懸念の指摘があってから、再度調査経過について問い合わせがあるまでの約3か月間、具体的な調査や経過報告を行わなかった
- その後の劇団と被害者のやり取りの中でも配慮に欠ける発言があり、被害者にさらなる精神的苦痛を与えてしまった
上記の問題については、初期に第三者からの指摘があった件がハラスメント対策室に共有されず、属人的な状況になったことにより誤った判断が発生したと考えています。
また調査の際に、ガイドラインに定めた手順が実施されず、被害者と行為者を含む劇団員の間で直接的なやり取りが発生してしまったことも問題でした。
対策
①初期対応の具体的な手順を定め、共有する
初期対応を以下に定め、それを劇団員および公演関係者全員に周知する。
- ハラスメントまたはそれに類する相談や指摘(被害者本人・第三者ともに)があった際には、劇団内のハラスメント対策室に共有していいか意思を確認する。
- 共有可能な場合は速やかにハラスメント対策室に共有し、共有不可の場合は外部相談窓口を紹介する。
②ハラスメント防止ガイドラインの遵守を徹底する
ガイドラインが正しく運用されていなかった事実を反省し、劇団員には毎年のハラスメント防止研修の際に劇団内のガイドラインについても周知・確認を実施。客演者や外部スタッフなどの関係者には契約の際にガイドラインを共有する。
3)ハラスメント防止ガイドライン及び規約の改訂
このたび公表した事案の過去の問題点、対応上の問題点を踏まえ、今後は適切な対応が実施できるようにハラスメント防止ガイドラインを改訂します。
改訂内容
①ハラスメント事案発生時の対応を明確化
2)①に記した初期対応のほか、ハラスメント対策室の対応の手順を明確化し、属人的な対応にならず、ハラスメント対策委員が交代しても間違いなく実行できる体制を整えます。
②ハラスメント認定の仕組みを明確化
ハラスメント対策室がハラスメントを認定するための役割および権限を制度化します。
その際には外部有資格者への相談を行うものとします。
③第三者委員会設置の制度を制定
外部有資格者の助言を受けてもハラスメント対策室だけでは十全な調査・認定・解決が困難な場合は、第三者委員会を設置し、調査を委託します。
ハラスメント対策室はあらかじめ第三者委員会設置のための候補者のリストを持ち、必要に応じて速やかに委託できる手順を整えます。
④劇団規約に懲罰規定を制定
劇団員のハラスメント事案が認定された場合、その内容に応じて適正に処分できるよう、劇団規約のなかに懲罰規定を定めます。ハラスメント防止ガイドラインには劇団の懲罰規定に従って適切に対応することを記載します。
客演者や外部スタッフについては、契約の際にハラスメント事案等が認定された際の対応を定めます。
私たちは、今回の問題を重く受け止め深く反省するとともに、一時的な対応で終わらせることなく、創作環境と組織のあり方を見直す契機とします。
誰もが不安や違和感を表明でき、その声が個人の判断によって止められることなく、定められた手続きに従って適切に扱われる体制を整えます。また、申立人と被申立人の双方を公平に扱い、必要に応じて外部の専門知識を取り入れながら、迅速かつ慎重に対応します。
今後も、本再発防止策の実施状況を継続的に検証し、ガイドライン、劇団規約および運用体制を必要に応じて見直すことで、安心・安全な創作環境の実現と信頼の回復に努めてまいります。
2026年9月26日
劇団アガリスクエンターテイメント一同
運営会社:株式会社アガリスクエンターテイメント

